2024/07/08 ギグワークス株式会社
働き方改革による残業規制が導入されて数年が経過しましたが、実際にどのような変化があったのでしょうか。
今回は、レバレジーズ株式会社が運営しているハタラクティブが、2018年3月以前から現在にかけて正社員として勤務している男女399名を対象に行った、働き方改革の残業規制における残業の実態調査を紹介します。
残業規制の導入により、残業時間の「可視化」が進んだという声が多く聞かれました。今回の調査では、62%の企業が残業時間の可視化に取り組んでいると回答しています。しかし、その一方で、働き方そのものの見直しには至っていない現状が浮かび上がりました。特に中小企業では、約4人に1人が「残業時間削減の実感がない」と感じており、企業規模が小さくなるほどこの傾向が顕著です。
この結果から、見た目の改善は進んでいるものの、労働環境の本質的な改善にはまだ課題が残っていることが分かります。
働き方改革による残業規制の一環として、実労働時間の削減が求められましたが、実際には約30%の人しか効果を感じていないことが判明しました。さらに、約5人に1人が「サービス残業が増えた」と感じており、これは残業時間の可視化が進んだ一方で、業務量が減少しなかったためと考えられます。
残業時間の申請が厳しくなったことで、実際の業務量をカバーするためにサービス残業が増えざるを得ない状況が生まれています。この現象は、企業が本質的な働き方の見直しに取り組んでいないことを示していると言えるでしょう。
残業規制の影響で給与が減少したという声も少なくありません。特に物流業界では、約5人に1人が「給与が下がった」と回答しており、全体の平均よりも高い割合を示しています。長時間労働が常態化している物流業界では、残業が収入の重要な一部を占めており、残業規制が収入に直結する現実があります。
あるトラックドライバーは、「残業が減ったことで生活が厳しくなり、転職を考えざるを得なくなった」とのコメントを寄せています。このように、残業規制が必ずしもポジティブな影響を与えているわけではなく、一部の業界では深刻な影響が出ているようです。
働き方改革による残業規制は、表面的には効果を上げているように見えますが、実際にはさまざまな課題が残されています。残業時間の可視化は進んだものの、労働環境の本質的な改善にはまだ遠い道のりがあります。また、サービス残業の増加や給与減少といった負の側面も浮き彫りになっており、特に物流業界ではその影響が顕著です。今後は、より実効性のある対策が求められるでしょう。